mil と mm が混在するデータシートを、どう読むか

基板メーカのルールは mm、部品のフットプリントは mil、銅箔厚は oz。同じ図面に 3 つの単位系が混ざるのが基板設計の日常で、どこで丸めるかを間違えるとルール違反や部品が載らない基板になります。

最終更新: 2026-10-28 単位換算mil基板設計フットプリント

mil は 1/1000 インチ

mil(ミル)は 1/1000 インチで、1mil = 0.0254mm、1mm = 39.37mil です。米国の基板設計で長く使われ、CAD のデフォルト設定、古いフットプリント、米国系メーカのデータシートに残っています。

mil(ミル)と mm(ミリ)を口頭で取り違えると 40 倍違うので、「ミリ」と言われたらどちらかを確かめます。µm(ミクロン)も混ざり、1mil = 25.4µm なので、銅箔厚 35µm は約 1.4mil です。

基板設計で頻出する mil と mm の対応
milmmどこで出てくるか
3mil0.076mm細線・細クリアランスの限界付近
4mil0.102mm「4/4 ルール」の線幅・クリアランス
5mil0.127mm一般的な最小線幅・クリアランス
6mil0.152mm同上(余裕を持たせた設計)
8mil0.203mm一般信号線の標準的な幅
10mil0.254mm電源線・レジスト開口の余裕など
12mil0.305mm小径ビアの穴径(0.3mm)
20mil0.508mm0.5mm ピッチ QFP・BGA
50mil1.27mmSOIC のピンピッチ
100mil2.54mmDIP・ピンヘッダのピッチ
異なる単位が混在する図面と測定道具
異なる単位が混在する図面と測定道具。概念を表すAI生成イラストです。実際の回路・条件は本文の図と説明を参照してください。

「4mil = 0.1mm」と丸めてよいか

4mil は正確には 0.1016mm です。メーカの最小線幅が「0.1mm」で 4mil で描けば、0.1016mm ≧ 0.1mm でルールを満たします。逆にメーカが「4mil」と言うのに 0.1mm で描くと、0.1mm < 0.1016mm で 1.6µm 足りず、わずかに違反します。

メーカが問題にする差ではありませんが、DRC(デザインルールチェック)は機械的に判定し、CAD のルールが 4mil なら 0.1mm の線はエラーになります。

対策は、メーカのルールをそのままの単位で CAD に入れることです。自分で換算して丸めた瞬間に、どちらかにずれます。

5mil は 0.127mm です。メーカの表が「0.127mm」なら mil ベース、「0.125mm」なら mm ベースのルールだとわかります。

4mil と 0.1mm の丸め線幅を大きく引き伸ばした 2 つのケース。メーカのルールが 0.1mm で 4mil(0.1016mm)の線を描くとルールを満たし、メーカのルールが 4mil で 0.1mm の線を描くと 1.6µm 足りない。 メーカの単位を丸めると、どちらかの向きでずれる 4mil = 0.1016mm。目盛りは大きく引き伸ばしている メーカのルール 0.1mm、4mil で描いた線 最小 0.1mm 4mil = 0.1016mm 0.1016 ≧ 0.1 で通る ルールを満たす メーカのルール 4mil、0.1mm で描いた線 最小 4mil(0.1016mm) 0.1mm 0.1 < 0.1016 で違反 DRC はエラーにする 1.6µm 不足 ルールはメーカの単位のまま CAD に入れる。換算して丸めると、どちらかにずれる。
図1:4mil の線(0.1016mm)は 0.1mm のルールを満たすが、0.1mm の線は 4mil のルールに 1.6µm 足りない。

部品のピッチはどちらの単位系か

SOIC の 1.27mm は 50mil、DIP の 2.54mm は 100mil で、インチ系の部品です。QFP の 0.5mm、0.65mm、0.8mm や BGA の 0.8mm、1.0mm はミリ系で、mil にすると 19.69mil、25.59mil のような端数になります。

問題になるのは、ピッチを換算して丸め、ピン数の多い部品に使ったときです。0.5mm を 20mil(0.508mm)と置くと 1 ピンあたり 0.008mm ずれ、1 列 50 ピンなら端で約 0.4mm ずれます。ピン幅 0.25mm では、ランドがピンから外れる量です。

フットプリントは部品図面と同じ単位系で作り、ピッチは CAD のピン配置機能で正確に指定します。流用するライブラリは、原点からの累積寸法も確認します。

  • グリッド。インチ系を 0.635mm(25mil)、ミリ系を 0.5mm のグリッドに置くと、同じグリッドに乗りません。配線グリッドは 0.05mm や 0.025mm と細かくします。
  • 穴径。ドリルは mm の 0.05mm 刻み(0.3、0.35、0.4…)か、インチのナンバードリル(#60 = 1.016mm など)で、中途半端な径は近い径に置き換えられます。
  • 基板厚。1.6mm は 0.063inch(63mil)、0.8mm は 31mil、1.0mm は 39mil です。米国のカードエッジコネクタは 0.062inch 用で、1.6mm でそのまま合います。
ピッチの丸めによるランド位置の累積ずれ25 本のピンに対して、正確な 0.5mm ピッチで置いたランドと、20mil に丸めたピッチで置いたランドを比較。丸めたほうは端に行くほどピンからずれていく。 ピッチを換算して丸めると、ずれは端で累積する 0.5mm ピッチの部品を 20mil(0.508mm)で描いた場合。ずれは 5 倍に誇張している 正確な 0.5mm ピッチで置いたランド 20mil(0.508mm)に丸めて置いたランド 25 ピン目で 0.19mm、50 ピン目なら 0.4mm 灰色:部品のピン 枠:基板のランド ランドがピンから外れる量(0.4mm)は、0.5mm ピッチのピン幅(0.25mm)より大きい。 フットプリントは部品図面の単位系のまま作り、ピッチは累積ではなく正確な値で置く。
図2:0.5mm ピッチを 20mil(0.508mm)と置くと、1 ピンあたり 0.008mm のずれが累積し、25 ピン目で 0.19mm、50 ピン目で 0.4mm ずれる(図はずれを 5 倍に誇張)。

oz は「重さ」で厚みを表す

銅箔厚の oz は、1 平方フィートあたりの銅の重さです。1oz = 28.35g の銅を 929cm²(1 平方フィート)に広げると 34.8µm で、1oz ≒ 35µm ≒ 1.4mil、2oz で 70µm、0.5oz で 18µm です。

外層の銅箔はめっきで厚くなります。1oz の箔で始めても、スルーホールめっきで 20〜25µm が乗り、仕上がりは 50〜60µm です。電流容量や線幅の計算にはメーカの「仕上がり銅厚」を使います。内層はめっきがなく、1oz なら 35µm のままです。

1oz の銅箔の断面(外層と内層)1oz の銅箔 35µm の断面図 2 つ。外層は銅箔の上にスルーホールめっき 20〜25µm が乗り、仕上がり 50〜60µm になる。内層はめっきがなく 35µm のまま。 外層はめっきで厚くなり、内層は箔の厚みのまま 1oz の銅箔で始めた場合の断面(厚みの縮尺は共通) 外層 銅箔 1oz:35µm めっき 20〜25µm 内層 銅箔 1oz:35µm 基板(絶縁層) 基板(絶縁層) 仕上がり 50〜60µm 電流容量や線幅はこの厚みで計算 35µm のまま
図3:1oz の外層は、めっきの 20〜25µm が乗って仕上がり 50〜60µm になる。内層は 35µm のまま。

混在を避けるための実務的なルール

  • CAD の表示単位は mm に統一し、ルールは来た単位のまま入れる。
  • 換算値を図面に書くときは元の値を併記する。「1.27(50mil)」のように書きます。
  • メーカへの指定は mm で、ルールぎりぎりの値は避ける。最小 0.1mm のメーカには 0.12mm や 0.15mm で描けば、mil と mm のどちらで解釈されても通ります。
  • 銅厚は「仕上がり」で聞く。

よくある質問

1mil は何 mm ですか。
0.0254mm です。逆に 1mm は 39.37mil です。
基板メーカの「最小線幅 0.1mm」に対して 4mil で設計してよいですか。
4mil = 0.1016mm なので満たします。逆にメーカが 4mil と言うのに 0.1mm で描くと 1.6µm 足りず、DRC エラーになります。
0.5mm ピッチの部品を mil で描くとどうなりますか。
0.5mm は 19.685mil で、20mil に丸めると 1 ピンあたり 0.008mm ずれ、50 ピンで 0.4mm になり、ランドがピンから外れます。
1oz の銅箔で線幅を計算したら、実物と抵抗が合いません。
外層は仕上がりが 50〜60µm なので、抵抗は計算より 3〜4 割低くなります。メーカの仕上がり銅厚で計算し直します。

参考にした規格・資料

  • IPC-2221B — 基板設計の一般標準。導体幅・間隔の要件
  • IPC-7351B — 表面実装部品のランドパターン標準(ミリ系)
  • JEDEC MS-012 / MO-153 ほか — SOIC・TSSOP などパッケージ外形図。ピッチの定義
  • IPC-4562 — プリント基板用銅箔の仕様。oz と厚みの対応

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