オーバードライブ・ディストーション・ファズの回路:TS808、ケンタ系、RAT、Fuzz Face を ngspice で鳴らして聴き比べる
2026-10-18
3 種類の違いは、ダイオードを OP アンプの帰還に入れるか、増幅のあとで GND へつなぐか、トランジスタそのものを飽和させるかです。代表的な 4 つの回路を ngspice で解き、同じギターの音を通して聴き比べられるようにしました。
計算機のページに入りきらない話をここに置いています。式の背景、部品のばらつき、寄生容量やインダクタンスが実機でどんな症状になって現れるか、設計レビューで実際に問われる判断を、規格書と数字を根拠に書いています。
2026-10-18
3 種類の違いは、ダイオードを OP アンプの帰還に入れるか、増幅のあとで GND へつなぐか、トランジスタそのものを飽和させるかです。代表的な 4 つの回路を ngspice で解き、同じギターの音を通して聴き比べられるようにしました。
2026-10-18
1970 年代のディストーションは OP アンプ 1 段で増幅してダイオードで切るだけですが、Friedman の BE-OD のような現代のハイゲインは、4 段の増幅の途中 3 か所で少しずつ潰し、その間で低音と高音を削ります。利得は RAT より大きいのに、ブリッジミュートの刻みの切れ目はかえって残りました。
2026-10-18
ギターの出力は 0.4V・1µA 足らずの弱い信号で、スピーカーでは 15V・2A になります。途中の機器が何を受け取って何を渡しているかを、経路をつないだまま ngspice で解き、各点の波形・電圧・電流・インピーダンスで追います。
2026-10-02
三極管は、グリッドの電圧でプレート電流を絞る素子で、入力は電圧だけで電流はほぼ流れません。小信号の等価回路は電流源 gm·vgk と内部抵抗 rp の並列で、N チャネルの JFET と同じ形なので、接地増幅もフォロワも差動対も OP アンプも、真空管で同じ形に組めます(違うのは、動作電圧が 1〜2 桁高いことと、ヒーターが要ることです)。
2026-09-23
差動 100Ω を「50Ω の線を 2 本並べる」で作ろうとするのは、よくある誤解です。2 本を近づけると電界が結合し、奇モードインピーダンス Zodd が単独の Z0 より下がるので、Zdiff = 2×Zodd は 2×Z0 を下回ります。
2026-09-23
「配線長を計算機や CAD で確認した。差は 0.5mm 以内だから大丈夫」と思っていても、その配線が表層と内層をまたぐなら、大丈夫ではないかもしれません。表層は電界の一部が空気に漏れて実効誘電率が下がるので、同じ長さでも内層より速く届きます。
2026-09-23
D = Vout/Vin は、損失もデッドタイムもない理想スイッチの式です。24V を 2MHz で 1.0V に落とすと、必要なオン時間は約 21ns で、多くのコントローラの最小オン時間(代表的に 50〜100ns 程度)を下回り、狙いどおりの電圧を作れなくなります。
2026-09-23
Vin=12V から Vout=6V を作るバックコンバータでは、入力コンデンサに流れるリプル電流の実効値が出力電流の半分になります。Irms = Iout√(D(1−D)) の D=0.5 が最悪条件で、Vout/Vin が 1/2 に近い設計ほど入力コンデンサの選定が厳しくなります。
2026-09-23
データシートの「出力抵抗 約10Ω」は代表値が1つだけです。IBIS ファイルには typ/min/max 3コーナー分の V-I テーブルがそのまま入っていて、原点近くの傾きを読むだけで、コーナーごとの Ro とダンピング抵抗の当たりが付けられます。
2026-09-23
「ドライブ強度 8mA」は、8mA までしか出せないという意味ではなく、VOL/VOH の規定点で保証する電流です。実体は出力段の並列トランジスタの本数、つまり出力抵抗とスルーレートで、強くすればリンギングと GND バウンスが増え、弱くすれば配線容量の充電が遅れます。
2026-09-23
ワニ口クリップの長いグラウンドリードは、プローブ先端の入力容量と直列共振回路を作り、15cm なら共振は 100〜150MHz 帯になります。立ち上がりの速い信号を測ると、基板では起きていないリンギングが画面に映ります。
2026-09-23
フェライトビーズは、データシートの「600Ω @ 100MHz」という値からインダクタだと思われがちですが、その周波数帯では電流を熱に変える抵抗として働く部品です。低域ではインダクタ、さらに高域ではコンデンサになり、直流電流を流すと飽和して抵抗の効果も落ち、後段のコンデンサと組むとかえってノイズを増幅することさえあります。
2026-09-23
水晶のデータシートにある「負荷容量 CL = 12.5pF」は、C1・C2 という 2 個のコンデンサに書く値ではなく、水晶の 2 本の足から見て基板全体がちょうど 12.5pF に見えるようにする指定です。ここを取り違えると周波数は数 ppm〜数十 ppm 動き、時計なら月に数十秒のずれになります。
2026-09-23
データシートの「出力電流 300mA」は熱さえ逃がせればという条件つきで、5V→3.3V・300mA の損失 0.51W に SOT-23-5 の θJA を掛けるだけで、周囲 50°C のジャンクション温度は 150°C を超えます。効くのは基板の銅箔面積ですが、そこには頭打ちがあります。
2026-09-23
通電したままのアダプタを挿すだけで、耐圧30Vの入力が壊れることがあります。ケーブルのインダクタンスと低ESRのMLCCが直列LC回路を作り、挿した瞬間の電圧ステップで共振して、入力電圧が一瞬だけ供給電圧のほぼ2倍まで跳ねるためです。
2026-09-23
SAR ADC の入力ピンの中身は、数百Ω〜数kΩのサンプルスイッチと数pF程度のサンプリング容量C_shだけで、サンプル期間のうちに1/2LSB以内まで整定しないと、そのまま測定誤差になります。「安全のために外付けCを足す」ことも、サイズを間違えると変換レートが桁違いに落ちます。
2026-09-23
ストラップピンは、リセットが解除される一瞬だけ電圧を読んで起動モードを決め、そのあとはただの GPIO や LED ドライバとして働きます。LED を1個ぶら下げるだけでも、内蔵プル抵抗(数十kΩ)には十分な負荷で、ノード電圧が「H でも L でもない」帯に入り、誤ったモードで起動します。
2026-09-23
TVS のデータシートのクランプ電圧は、TVS 自身の端子で測った値です。IC のピンに届く電圧がそれより高くなるとしたら、原因はコネクタから TVS までの配線ではなく、信号線から TVS へ分岐するスタブと、TVS の GND ビア(電流が GND に落ちる手前の数 mm)のインダクタンスです。
2026-09-23
メモリへの読み書きは「番地を指定してデータを置く/受け取る」だけですが、DDR4 や LPDDR4 の内部では、番地がロウとカラムの 2 段に分かれ、複数のデバイスが CS で選び分けられ、データは DQS という基準信号に合わせて取り込まれます。この仕組みを追うと、基板の等長配線がどこに効くのかも見えてきます。
2026-09-22
レギュレータのデータシートにある「出力電流」は、入力から出力へ流し出す(ソース)電流で、出力から流れ込む電流を GND へ逃がす(シンク)能力は、ふつうの LDO にはゼロです。保護ダイオードなどから 3.3V レールに電流が流れ込むと、LDO は閉じることしかできず、レールは負荷が吸える電流に釣り合うところまで上がります。
2026-09-19
インダクタは電流を急に変えられない部品で、電流を保つためなら電圧はいくらでも出します。V = L·dI/dt の V はその電圧で、電流が増えるときと減るときで向きが反転し、スイッチを切ったときの跳ね上がりとブーストコンバータの原理になります。
2026-09-19
「アクティブのほうが高性能」ではありません。電源ラインや RF ではアクティブは使えず、ADC の前段ではパッシブだけでは足りないので、信号の周波数・電力・インピーダンスで方式が決まります。
2026-09-19
オペアンプの回路は種類が多く見えますが、読み方は 2 つの約束だけです。「負帰還がかかっていれば、2 つの入力端子は同じ電圧になる」「入力端子に電流は流れない」。
2026-09-15
32768 は 2 を 15 回掛けた数なので、「半分にする」回路に 15 回通すと、ちょうど 1 秒に 1 回のパルスになります。最初から 1 秒に 1 回振動する水晶を作ればよさそうですが、それができない理由が、この周波数が選ばれた理由そのものです。
2026-09-14
「50Ω にしたいので線幅を教えてください」には答えられません。線幅は線の下の絶縁層の厚みで決まり、層構成が決まって初めて決まります。
2026-09-14
電流制限抵抗は R = (Vcc − Vf) ÷ I で求められますが、公称値だけでは電流の範囲は決まりません。電源・Vf・抵抗のばらつきを重ね、必要な明るさと上限電流を両立できるか確認します。
2026-09-14
基板メーカのルールは mm、部品のフットプリントは mil、銅箔厚は oz。同じ図面に 3 つの単位系が混ざるのが基板設計の日常で、どこで丸めるかを間違えるとルール違反や部品が載らない基板になります。
2026-09-14
0.1µF を IC の電源ピンに置くのは、「小さなインダクタ付きのコンデンサ」を置くことです。インダクタンスの半分以上は、コンデンサではなくビアと配線が作ります。
2026-09-14
「高周波では電流が表面にしか流れない」は正しいですが、その「高周波」が何 MHz なのかは導体の厚みで決まります。基板の 1oz 銅箔なら 4MHz 前後、電源の巻線なら 100kHz で効き始めます。
2026-09-14
1MHz のクロックでも、ドライバのエッジが 500ps なら 30mm の配線でリンギングが出ます。伝送線路になるかどうかを決めるのは周波数ではなく、エッジが配線を往復する時間との比です。
2026-09-14
「クロックとデータは等長に」と言われて、全部の配線を 0.1mm 単位で揃えている基板を見ます。1mm は 6.5ps です。その信号のタイミング余裕が 5ns なら、100mm ずれても問題ありません。
2026-09-14
4.7kΩ は 5V・100kHz・小さなバスでの経験値で、3.3V・400kHz でモジュールを 5 つつなぎケーブルを 30cm 伸ばすと間に合いません。抵抗には下限と上限があり、どちらも計算で決められます。
2026-09-14
R1 と R2 で分圧すれば電圧は R2/(R1+R2) 倍になる、というのは計算上の話です。実物は許容差、後段の入力抵抗、温度、ADC のサンプリング容量で数 % ずれるので、ADC の分解能より大きな誤差を分圧で作っていないか確認します。
2026-09-14
1A なら 0.3mm、という表を見て電源パターンを引くと、長い配線では電圧降下で困ります。温度上昇で決まる幅と、電圧降下で決まる幅は別の計算で、長い配線ほど後者が支配します。
2026-09-14
効率 92% のバックコンバータで、残りの 8% がどこで熱になっているかを追うと、対策の優先順位が見えます。MOSFET の RDS(on) だけを下げても、損失の 7 割はスイッチングとインダクタが占めています。
2026-09-14
「6dB 落ちた」と言われて、電圧が半分になったのか電力が 1/4 になったのかを即答できないと、フィルタの計算も EMI の限度値も読み違えます。dB は比を対数で表したもので、電力なら 10 倍、電圧なら 20 倍の係数が付きます。
2026-09-14
0402 の 10µF / 6.3V に定格の約半分の 3.3V をかけると、容量は 3µF 前後(カタログ値の 3 割)しか残りません。データシートの「10µF」は、電圧をかけていないときの値です。
2026-09-14
1.6kHz の RC フィルタは、100kHz のノイズを 1/60(−36dB)にします。ゼロにはなりません。フィルタは「遮断」ではなく「減衰」で、その量は 1 次なら周波数比で決まります。
2026-09-14
反転増幅回路は仮想接地のおかげで計算が簡単ですが、それが「入力インピーダンス = Rin」を意味することを忘れると、センサをつないだ瞬間にゲインが半分になります。
2026-09-14
50pF の負荷は、8mA のドライバで 3.3V まで充電するのに 20ns かかり、50MHz で振れば 27mW を消費します。配線容量は「寄生」と呼ばれますが、タイミングと消費電力に数字ではっきり効きます。
2026-09-14
10000mAh のモバイルバッテリで 3000mAh のスマートフォンを 3 回充電できないのは、詐欺ではなく単位の問題です。10000mAh は 3.7V での値で、5V に変換して損失を引くと、充電できるのは 2 回分ほどです。
2026-09-14
εr = 4.3 と書いてある基板の中身は、εr = 6 のガラス束と εr = 3 の樹脂の織物です。0.5mm ピッチで並ぶその上を 0.15mm の配線が通り、差動ペアの 2 本が違う場所を通るとスキューになります。
2026-09-14
ハムバッカーが「太い」のはインダクタンスが 2 倍になって共振が約 1.3kHz 下がるからで、ハムが消えるのは 2 つのコイルが外来磁界には逆向き、弦には同じ向きに働くからです。どちらも等価回路で数字にできます。
2026-09-14
「不揮発で、書き換えられて、速い」メモリはありません。どのメモリも、書き換え回数・容量・速度・価格のどれかを犠牲にしているので、用途から逆引きできるように整理します。
2026-09-10
差した瞬間に20Vが出ていたら、5V専用の機器は一発で壊れます。USB PD は、抵抗だけで決まる段階と、通信してから電圧を動かす段階に分けて、それを避けています。
2026-09-10
RJ45 のポートには、PoE に対応していない機器も刺さります。PSE はいきなり 48V を出さず、まず数ボルトで相手を確かめ、何ワット要るかを聞いてから投入します。
2026-09-07
3PDTを使わずにLED表示を付けられるので、エフェクターの自作でよく使われる回路です。動作は単純ですが、超高インピーダンスのノードを1つ作るので、そのぶん癖もあります。