集中定数 分布定数
集中定数と分布定数の境目の計算機です。 周波数を入力すると、集中定数として扱える限界の配線長を求めます 配線長を入力すると、集中定数として扱える限界の周波数を求めます
SI接頭辞可(4k7 / 1M / 10m / 220)。大文字M=メガ、小文字m=ミリ
詳細設定 — 誘電体厚み・銅箔厚さ・基板の比誘電率
計算履歴
計算式
限界配線長: L = 0.25 / (2π × f × √(L₀ × C₀))
(L₀,C₀:単位長さあたりのインダクタンス・容量)
設計のポイント
電気回路の部品は、寸法が信号波長より十分小さければ「集中定数」として扱えます。高周波では部品・配線の寸法が波長に近づき、伝搬の遅れや位相変化を無視できなくなります(分布定数)。
目安:波長の1/10以下なら集中定数で設計可能
FR-4基板(εr=4.3)、1GHz の場合:
→ 基板上の波長 ≈ 145 mm → 限界配線長 ≈ 14.5 mm
分布定数を考慮すべき回路:RF回路、高速シリアルバス(PCIe Gen4以上)、マイクロ波フィルタ
こんなときに使います
「この配線に終端抵抗は要るのか」を判断するための計算です。配線を単なる導線(集中定数)として扱えるのか、伝送線路(分布定数)として扱わなければならないのかの境目を、配線長と周波数の両方から出します。
判定の基準
配線の長さが信号の波長に対して十分短ければ、配線上のどこでも電圧はほぼ同じとみなせます。これが集中定数の扱いで、終端は不要です。逆に長さが波長と同程度になると、配線の場所によって電圧が違う分布定数の世界になり、反射と終端を考える必要が出てきます。
この計算機は電気長 βl = 0.25 ラジアン(約 14°)を境目としています。波長でいうと約 λ/25 で、教科書でよく使われる λ/10 よりも保守的です。ここで出た長さを超えたら、伝送線路として扱ってください。
判定に使うべきなのはクロック周波数ではなく立ち上がり時間です。10MHz のクロックでも、立ち上がりが 1ns なら含まれる周波数成分は 350MHz 相当(f = 0.35/tr)になります。反射を起こすのはこの高い成分です。周波数の欄には、クロックではなく 0.35/tr で求めた値を入れてください。
立ち上がり時間から見た目安
| 立ち上がり時間 | 等価周波数 | 終端を考え始める長さ(目安) |
|---|---|---|
| 10 ns | 35 MHz | 約 180 mm |
| 5 ns | 70 MHz | 約 89 mm |
| 2 ns | 175 MHz | 約 35 mm |
| 1 ns | 350 MHz | 約 18 mm |
| 0.5 ns | 700 MHz | 約 8.9 mm |
| 0.2 ns | 1.75 GHz | 約 3.6 mm |
現行のロジック IC は立ち上がりが 1ns を切るものが多く、その場合は20mm を超える配線はまず伝送線路という感覚で設計することになります。「遅いバスだから大丈夫」という判断は、デバイスの世代が上がると成り立たなくなります。
分布定数として扱うことになったら
- 直列終端(ダンピング抵抗)。ドライバの直後に 22〜33Ω を入れて、ドライバの出力インピーダンスと合わせて配線のインピーダンスに合わせます。1 対 1 の接続で最も手軽です。消費電力も増えません。
- 並列終端。受信端で配線のインピーダンスと同じ抵抗を GND または電源に落とします。波形はきれいですが、常時電流が流れるので消費電力が増えます。
- テブナン終端。電源と GND の両方に抵抗を入れて中間電位に終端します。並列終端よりも直流的な扱いが楽ですが、やはり電流が流れます。
- そもそも短くする。一番確実です。配置を見直して 20mm 以内に収められるなら、終端を考える必要がなくなります。
よくある質問
クロック周波数を入れればいいのですか?
λ/10 という基準をよく見ますが、この計算機は違いますか?
境目を少し超えた程度なら終端しなくても動きますか?
差動配線でも同じ判定でいいですか?
参考にした規格・資料
- IPC-2141A — 伝送線路として扱う判定と終端の設計。
- Howard Johnson, "High-Speed Digital Design" — 立ち上がり時間を基準にした集中定数/分布定数の判定。
最終更新: 2026-08-29