パターン抵抗・発熱・インダクタンス・寄生容量

パターン抵抗・パターン発熱・パターンインダクタンス・寄生容量の計算機です。 基板の銅箔パターンにも抵抗成分や誘導(インダクタンス)成分が生じます。 大電流のパターンやインダクタンスが気になる高速信号は注意が必要です。 銅箔厚の目安:硬質基板の表層35um、フレキシブル基板の表層12um 寄生容量(パターン容量)は、マイクロストリップ線路(表層パターン)時の値です。

パターン抵抗・発熱・インダクタンス・寄生容量の説明図
mm
mm
mm
A

SI接頭辞可(4k7 / 1M / 10m / 220)。大文字M=メガ、小文字m=ミリ

パターン抵抗
33.142857
パターンインダクタンス10.3745 nH
パターン消費電力33.142857 mW
パターン寄生容量0.571 pF
詳細設定 — 誘電体厚み・基板の比誘電率
mm
εr

補足情報

電圧降下量
33.143 mV
電流 × パターン抵抗
計算履歴
入力欄で Enter を押すと、その時点の値がここに残ります。

計算式

パターン抵抗: R = 1.74×10⁻² × L / (W × T) [mΩ]
インダクタンス: 近似式適用
消費電力: P = R × I² [mW]

設計のポイント

PCBの銅箔パターンにも抵抗・インダクタンス・寄生容量などの寄生素子があります。大電流回路や高速信号では無視できません。

チェックポイント:
• 大電流パターン:電圧降下 = R × I が許容範囲内か確認
• 高速信号:インダクタンスがリンギングに影響
• 発熱計算:P = R × I² でパターン発熱が許容値内か

銅箔厚の標準:表層35µm(1oz)、フレキシブル12〜18µm。大電流には2oz(70µm)以上を検討してください。

こんなときに使います

電源ラインのパターン幅を決めるときや、「この配線に 3A 流して大丈夫か」を確かめるときに使います。抵抗と発熱(消費電力)に加えて、インダクタンスと寄生容量も同時に出るので、電源設計と高速信号の両方で使えます。

4つの出力の意味

出力意味主に見る場面
パターン抵抗R = ρL/(w·t)。銅の抵抗率 1.74×10⁻⁸ Ω·m で計算電圧降下・発熱
パターンインダクタンス配線の自己インダクタンス電源のリップル、高速信号のリターン
パターン消費電力P = R·I²。そのまま発熱量温度上昇の見積もり
パターン寄生容量配線と基準面の間の容量容量負荷、センシティブなノード

銅箔厚の対応表

「oz」は 1 平方フィートあたりの銅の重さ。厚みに直したもの。
銅箔厚みシート抵抗備考
0.5 oz17.5 µm約 0.99 mΩ/□内層の信号層でよく使う
1 oz35 µm約 0.49 mΩ/□最も標準的
2 oz70 µm約 0.25 mΩ/□電源基板。細線が引きにくくなる
3 oz105 µm約 0.17 mΩ/□大電流。コストと最小線幅に注意

シート抵抗(mΩ/□)を覚えておくと暗算が速くなります。1oz なら「長さ÷幅」の値に 0.49 を掛ければ mΩ が出ます。幅 1mm・長さ 100mm なら 100 × 0.49 = 49mΩ。

温度で抵抗が増えることを忘れない

銅の抵抗温度係数は約 0.393%/K です。20°C を基準にすると、パターンが 60°C まで上がった時点で抵抗は約 16% 増えています。100°C なら約 31% 増です。

発熱するパターンでは「抵抗が増える → さらに発熱する」という正のフィードバックがかかります。電源ラインの設計では、想定する最高温度での抵抗値で電圧降下と発熱を確認してください。この計算機は 20°C の値を出しているので、高温側は手で係数を掛けます。

計算例:3.3V / 2A の電源パターン

  1. 幅 1mm、長さ 100mm、銅箔 35µm(1oz)、電流 2A。
  2. この計算機で抵抗は 49.7mΩ、消費電力は 198.9mW
  3. 電圧降下は 2A × 49.7mΩ = 99mV。3.3V に対して 3.0% で、±5% の電源仕様なら残りの余裕は 2% しかない。
  4. パターン温度が 60°C まで上がると抵抗は 16% 増えて 57.5mΩ、電圧降下は 115mV(3.5%)
  5. 幅を 2mm にすると抵抗は半分の 24.9mΩ、電圧降下 50mV(1.5%)まで下がる。こちらを選ぶ。

よくある失敗

  • ビアの抵抗を数えない。φ0.3mm・板厚 1.6mm のビア 1 個で 0.5〜1mΩ 程度です。電源が層を跨ぐたびに効いてくるので、大電流のビアは必ず複数本並べてください。
  • 電流容量を抵抗だけで判断する。実際に決めるのは温度上昇です。許容温度上昇に対する線幅は IPC-2152 のグラフで確認してください。内層は放熱が悪いため、同じ電流でも表層より広い幅が必要です。
  • 最も細い場所を見落とす。抵抗はパターン全体で決まるのではなく、パッド周りやサーマルランド、部品の下を通る細くなった箇所が支配します。一番狭いところを入力してください。
  • リターン側を忘れる。電圧降下は往復で効きます。GND 側のパターンが細ければ、その分もそのまま電源電圧の低下になります。

よくある質問

何 A まで流せますか?
この計算機は抵抗と発熱を出すもので、電流容量そのものは判定しません。電流容量は許容できる温度上昇で決まるため、IPC-2152 を参照してください。目安として、表層・1oz・温度上昇 10K なら 1mm 幅でおよそ 1.5〜2A、内層では同じ条件でその 6 割程度です。
内層と表層で電流容量が違うのはなぜですか?
放熱経路が違うためです。表層は空気に直接触れて熱を逃がせますが、内層は樹脂に囲まれているので熱がこもります。同じ温度上昇なら内層のほうが流せる電流は小さくなります。
シート抵抗の「□(スクエア)」とは何ですか?
正方形 1 個分の抵抗という意味です。導体は正方形であれば大きさによらず抵抗が同じになるので、「長さ÷幅」で正方形が何個並んでいるかを数え、シート抵抗を掛ければ全体の抵抗が出ます。幅が変わる形状でも区間ごとに数えれば計算できます。
パターンの寄生容量はどんなときに問題になりますか?
高インピーダンスのノードです。フィードバック分圧点、アナログの高抵抗入力、水晶発振子の周りなどでは、数 pF でも動作に影響します。逆に電源ラインでは、この容量はデカップリングの一部として働くので有利に効きます。

参考にした規格・資料

  • IPC-2152 — 導体の電流容量。温度上昇と線幅・銅箔厚・内層/表層の関係。現行の標準。
  • IPC-2221B — 一般設計規格。旧来の電流容量チャートもこちら。

最終更新: 2026-08-29