抵抗分圧

抵抗で分圧した時の中点の電圧を求めます。 実際の設計では抵抗値や電圧に誤差が生じるため、中点の電圧も一定にはなりません。

抵抗分圧の説明図
V
Ω
Ω

SI接頭辞可(4k7 / 1M / 10m / 220)。大文字M=メガ、小文字m=ミリ

電圧
2.7211V
最大電圧2.9057 V
最小電圧2.5381 V
電圧範囲0.3675 V p-p
詳細設定 — 電源電圧の許容差・R1 許容差・R2 許容差
±%
±%
±%

補足情報

分圧比
0.825
R2 / (R1 + R2)
分圧回路に流れる電流
57.895 µA
Vcc / (R1 + R2)
合成抵抗
57 kΩ
R1 + R2
分圧回路の消費電力
191.05 µW
Vcc² / (R1 + R2)

出力インピーダンス(R1∥R2)は 8.246 kΩ。ADCのサンプリングやオペアンプの入力に繋ぐ場合、この値が大きいほど誤差要因になります。

計算履歴
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計算式

中点電圧: Vout = Vin × R2 / (R1 + R2)
誤差考慮最大: Vin_max × R2_max / (R1_min + R2_max)
誤差考慮最小: Vin_min × R2_min / (R1_max + R2_min)

設計のポイント

抵抗分圧は任意の電圧を生成する基本回路です。マイコンのADC入力電圧の調整、センサの動作点設定、バッテリー電圧の監視などに広く使われます。

設計時の注意点:
• 出力インピーダンス = R1//R2(負荷変動で電圧が変わる)
• 精度が必要な場合は許容差の小さい抵抗(1%品・0.1%品)を使う
• 電源電圧の変動も含めた誤差解析がこの計算機で一括確認できます

こんなときに使います

基準電圧の生成、電源電圧のモニタ、スイッチング電源のフィードバック分圧、レベルシフトなどで使います。狙いの電圧そのものより、抵抗の許容差と電源変動を入れたときに実際どこまで振れるかを確認するのが主目的です。

許容差がどう効くか

分圧比 R2/(R1+R2) は抵抗値の比だけで決まるので、両方が同じ方向にずれる分にはキャンセルされます。問題になるのは逆方向にずれた場合です。

±1% の抵抗を 2 本使った最悪ケースでは、分圧比の誤差はおよそ ±1% です(R1 が +1%、R2 が −1% のとき)。ここに電源電圧の許容差が掛け算で乗ります。電源が ±5% なら、出力電圧の振れは合計で約 ±6% になります。

抵抗の許容差より温度係数のほうが効く場面があります。一般的な厚膜チップ抵抗の温度係数は ±100〜200ppm/K です。−40〜+85°C の範囲では最大 2.5% 動きます。2 本の抵抗が同じ温度で同じ方向に動く分は打ち消されますが、種類や実装場所が違うと打ち消されません。精度が要るなら同じシリーズ・同じサイズで揃え、近くに置いてください。

抵抗値をいくつにするか

抵抗値の目安消費電流(3.3V を 1/2 分圧)向いている用途
1 kΩ 級約 1.6 mAノイズに強い。常時通電の機器では無駄が大きい
10 kΩ 級約 165 µA汎用。ADC 入力の標準的な選択
100 kΩ 級約 16 µA電池機器。配線容量とリークに注意
1 MΩ 級約 1.6 µA超低消費。基板の汚れによるリークが効き始める

ADC に入れる場合は、分圧の出力インピーダンス(R1 と R2 の並列値)が ADC の要求より低いことを確認してください。マイコン内蔵の逐次比較型 ADC はサンプリング時にコンデンサへ充電するため、出力インピーダンスが高いと変換値が下がります。10kΩ 以下が無難で、それ以上なら出力にコンデンサを入れます。

計算例:3.3V を 1/2 に分圧して ADC で測る

  1. Vcc = 3.3V、R1 = R2 = 10kΩ、電源許容差 ±5%、抵抗はどちらも ±1%。
  2. この計算機で標準値は 1.65V。
  3. 最大 1.7498V、最小 1.5518V、振れ幅は 0.198V。
  4. 中心値に対して ±6% ある。12bit ADC の分解能(3.3V で 0.8mV)よりはるかに大きい。
  5. 電源電圧そのものを測りたいなら、この誤差は致命的。ADC の基準電圧に電源をそのまま使えば、電源変動は分子と分母で打ち消され、抵抗の ±1% だけが残る。

上の 5 番目が実務では一番効く工夫です。「何を基準に測るか」を変えるだけで、部品を変えずに誤差が 6 分の 1 になります。

よくある失敗

  • 分圧点に負荷をぶら下げる。この計算は無負荷の値です。分圧点から電流を引く回路(電流を吸うアナログ入力、次段のバイアスなど)があると、その分だけ電圧が下がります。負荷抵抗が R2 の 100 倍以上あることを確認してください。
  • スイッチング電源の FB 分圧で高抵抗を使いすぎる。数百 kΩ にすると配線容量で位相が回り、ループが不安定になります。FB の配線は最短にし、必要なら帰還にコンデンサを入れて位相を補償します。
  • 高電圧の分圧で定格電圧を超える。チップ抵抗には素子1個あたりの最大電圧(1608 で 50V 程度)があります。数百 V を分圧するなら、抵抗を複数直列にして分担させてください。
  • E24 に丸めた誤差を数えない。計算した理想値を E24 系列に丸めた時点で最大 2% ずれます。許容差の計算は丸めた後の値で行ってください。

よくある質問

電源電圧を ADC で測りたいのですが、誤差を減らすには?
ADC の基準電圧に測りたい電源そのものを使ってください。分圧比が電源に比例し、ADC のフルスケールも電源に比例するので、電源変動が打ち消されます。残るのは抵抗の許容差だけです。逆に絶対値が必要なら、基準電圧 IC を使って ADC の基準を安定させます。
抵抗の許容差は 1% と 0.1% でどれくらい違いますか?
分圧比の最悪誤差がそのまま 10 分の 1 になります。ただし 0.1% 品は薄膜抵抗で価格が 5〜10 倍します。多くの場合、温度係数と基準電圧の精度のほうが支配的なので、そちらを先に確認してください。
分圧点にコンデンサを入れても大丈夫ですか?
ノイズ除去には有効です。ただし応答が遅くなるので、電圧の変化を追いたい用途では時定数に注意してください。R1 と R2 の並列値とコンデンサで時定数が決まります。10kΩ 並列(5kΩ)に 100nF なら 0.5ms です。
R1 と R2、どちらが上ですか?
この計算機では R1 が電源側(ハイサイド)、R2 が GND 側(ローサイド)です。出力は R2 の両端の電圧になります。

参考にした規格・資料

  • IEC 60115-1 — 固定抵抗器の一般仕様。許容差と温度係数の規定。
  • IEC 60063 — E系列(E24 / E96)の標準数。

最終更新: 2026-08-29