LEDの点灯回路設計

電源、LED、抵抗からなる回路を設計します。 実際の部品は抵抗値やVfにバラツキがあるため、LEDの電流に誤差が生じます。

LEDの点灯回路設計の説明図
V
V
Ω

SI接頭辞可(4k7 / 1M / 10m / 220)。大文字M=メガ、小文字m=ミリ

LED電流
0.638mA
LED電流 Max0.896 mA
LED電流 min0.304 mA
詳細設定 — 電源電圧MAX・電源電圧min・Vf Max ほか2件
V
V
V
V
%

補足情報

抵抗の消費電力
1.91 mW
最悪条件 3.77 mW
LEDの消費電力
1.28 mW
Vf × I
回路全体の消費電力
3.19 mW
Vcc × I
抵抗の両端電圧
3 V
Vcc − Vf

最悪条件 3.77 mW → ディレーティング50%なら定格 7.55 mW 以上が必要。チップ抵抗なら 1/16W(1005 / 0402) で足ります。

計算履歴
入力欄で Enter を押すと、その時点の値がここに残ります。

計算式

LED電流: I[mA] = (Vcc − Vf) × 1000 / R[Ω]
必要抵抗: R = (Vcc − Vf) / I_target × 1000 [Ω]

設計のポイント

LEDは電流駆動素子です。電流制限抵抗Rを挿入して適切な電流を流します。抵抗値が小さすぎると過電流でLEDが破損し、大きすぎると輝度が不足します。

設計のポイント:
• 定格電流の目安:一般LEDは 20mA、高輝度・白色は 20〜30mA
• Vf(順方向電圧):赤≈2.0V、緑≈2.1V、青・白≈3.0〜3.5V
• 量産設計では抵抗誤差±5%、Vfのばらつき、電源変動を全て考慮する
• 最大電流が定格を超えないよう最悪条件でも確認しましょう

こんなときに使います

インジケータ LED の電流制限抵抗を決めるときに使います。単に「抵抗値はいくつ」ではなく、電源変動と Vf のばらつきと抵抗の許容差を全部入れたときに、電流が最悪どこまで振れるかを出すのがこの計算機の目的です。量産で LED の明るさがバラつく、あるいは定格を超えて寿命が落ちる、という事故はここを見ていないことが原因です。

LED は電流で明るさが決まる

LED は電圧をかけて光らせる素子ではなく、流れた電流で明るさが決まる素子です。しかも順方向電圧 Vf を少し超えると電流が急激に増えるため、電圧源に直結すると簡単に壊れます。そこで直列に抵抗を入れて電流を制限します。

このとき抵抗にかかる電圧は Vcc − Vf です。Vf は個体差と温度で動くので、Vcc − Vf の差が小さいほどばらつきの影響が相対的に大きくなります。5V 電源で Vf 3.1V の白色 LED を使うと、抵抗にかかるのはわずか 1.9V。Vf が 0.2V ずれるだけで電流は 10% 以上変わります。

色ごとの Vf と定格電流

一般的なインジケータ用 LED の目安。実際の値は必ずデータシートで確認してください。
色Vf(標準)Vf のばらつき定格電流よく使う電流
赤1.9 〜 2.1 V±0.2 V20 mA2 〜 10 mA
黄・橙2.0 〜 2.2 V±0.2 V20 mA2 〜 10 mA
緑(黄緑)2.0 〜 2.2 V±0.2 V20 mA2 〜 10 mA
緑(純緑)3.0 〜 3.4 V±0.3 V20 mA5 〜 20 mA
青3.0 〜 3.4 V±0.3 V20 mA5 〜 20 mA
白3.0 〜 3.5 V±0.3 V20 〜 30 mA5 〜 20 mA

最近のインジケータ用 LED は効率が上がっているので、定格の 20mA を流す必要はほとんどありません。1〜5mA でも十分明るく、むしろ眩しすぎることが多いです。電流を絞れば消費電力も発熱も抵抗の定格も楽になります。

計算例:5V で白色 LED を 10mA 前後で光らせる

  1. Vcc = 5V、白色 LED の Vf(標準)= 3.1V、狙いの電流を 12mA とする。
  2. R = (5 − 3.1) / 0.012 = 158Ω。E24 系列で近い 150Ω を選ぶ。
  3. この計算機に Vcc = 5、Vf = 3.1、R = 150 を入れると標準で 12.67mA。
  4. 詳細設定で Vcc を ±5%(4.75 〜 5.25V)、Vf を 2.9 〜 3.4V、抵抗許容差を ±5% とすると、電流は 8.57mA 〜 16.49mA まで振れる。
  5. 最大 16.5mA は定格 20mA の範囲内なので問題なし。ただし最小 8.6mA と最大 16.5mA では明るさが倍近く違う。複数の LED を並べて明るさを揃えたいなら、抵抗を ±1% にするか電流をもっと絞る。
  6. 抵抗の消費電力は 16.5mA² × 150Ω = 41mW。1608(0603)の 1/10W で足りる。

設計の勘所

  • Vcc − Vf を大きくとる。これが大きいほど Vf のばらつきの影響が薄まります。3.3V 電源で Vf 3.1V の白色 LED を光らせようとすると、差がわずか 0.2V しかなく、電流が全く安定しません。この場合は昇圧するか、定電流ドライバを使ってください。
  • マイコンのポートで直接駆動するときは吸い込み/吐き出し電流の定格を見る。1 ポートあたり 8mA でも、ポート合計や電源ピン合計の上限が別に決まっていることがほとんどです。LED を何個も直接駆動すると簡単に超えます。
  • 並列接続はしない。LED を 2 個並列にして抵抗 1 本で済ませると、Vf の低いほうに電流が偏ります。片方だけ明るくなり、寿命も縮みます。必ず 1 個ずつ抵抗を入れるか、直列にしてください。
  • PWM で明るさを変えるなら電流は定格内で。平均電流ではなくピーク電流が定格を超えないようにします。パルス駆動の定格が別に規定されている LED もあります。

よくある質問

抵抗は LED の前と後、どちらに入れますか?
電気的にはどちらでも同じです。直列回路なので流れる電流は変わりません。基板の都合で決めて構いませんが、GND 側(カソード側)に入れるとマイコンのポートでシンク駆動する構成に素直に収まることが多いです。
3.3V 電源で白色 LED を使えますか?
厳しいです。白色の Vf は 3.0〜3.5V で、3.3V ではそもそも点灯しない個体が出ます。どうしても必要なら昇圧コンバータを入れるか、Vf の低い赤や黄緑に変えるのが現実的です。Vf の上限を保証している選別品を使う手もありますが割高です。
複数の LED を直列にする場合はどう計算しますか?
Vf を足し算して、その合計を Vf の欄に入れてください。赤 2 個直列なら Vf = 4.0V です。ただし直列にするとばらつきも足し算になるので、Vcc との差の余裕をより多くとる必要があります。
電流を絞ると寿命は延びますか?
延びます。LED の劣化は主に接合部の温度で決まるため、電流を減らして発熱を抑えれば光束の低下が緩やかになります。定格の半分以下で使うのが一般的な設計指針です。
抵抗の定格電力はどう選びますか?
最悪条件での電流の二乗に抵抗値を掛けた値に対して、2 倍以上の定格を選びます。この計算機の補足情報に必要な定格と推奨サイズが出ます。チップ抵抗の定格は周囲 70°C 基準のことが多く、密閉筐体では実力が落ちる点にも注意してください。

参考にした規格・資料

  • JIS C 8152 — 照明用 LED の測光。
  • IEC 62031 — LED モジュールの安全仕様。

最終更新: 2026-08-29