同期整流Buck(降圧): 効率・リプル・波形

同期整流(Synchronous)降圧コンバータの簡易計算です。インダクタ電流(リプル)と出力リプル(C成分)を求め、インダクタ電流波形と出力リプル波形を表示します。

V
V
A
Hz
H
F

SI接頭辞可(4k7 / 1M / 10m / 220)。大文字M=メガ、小文字m=ミリ

ΔIL (p-p)
2.6515A
IL peak3.3258 A
ΔVout (p-p)30.129 mV
効率(概算)99.741 %
詳細設定 — Rds(on) HS・Rds(on) LS
Ohm
Ohm
計算履歴
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計算式

計算式(理想近似):
Duty D = Vout / Vin
インダクタ電流リプル ΔIL(pp) = (Vin - Vout) × D / (L × fsw)
出力リプル(C成分) ΔVout(pp) ≈ ΔIL / (8 × fsw × Cout)
FET導通損(抵抗損のみ) P = Rds(on) × (1/T)∫ i(t)^2 dt
LC二重極 f(LC) = 1 / (2π√(L × Cout))
過渡電圧目安(0↔Iout急変、デューティ飽和の大信号近似) ΔV ≈ L × Iout² / (2 × Cout × Vheadroom)
(Vheadroomは立ち上がり時 Vin−Vout、立ち下がり時 Vout)
回復時間目安 t ≈ L × Iout / Vheadroom

設計のポイント

波形表示:インダクタ電流 iL と、C成分のみの出力リプル vout-ripple(ESR無視)を 1周期分表示します。

iL(t) [A]
vout ripple(t) [mV] (C成分のみ)

注意: ここでの効率はHS/LS FETのRds(on)による導通損のみを考慮した概算です(インダクタDCR、出力コンデンサESR、スイッチング損、デッドタイム損、ゲート駆動損などは未考慮)。f(LC)・ΔV過渡・回復時間目安は、制御ループやコンペンセータを一切考慮しない大信号の目安値です(0とIoutの間で負荷が急変し、デューティが上限/下限に張り付いたと仮定)。実機の過渡応答は制御ループの帯域で決まるため、ここより悪化も改善もあり得ます。

こんなときに使います

同期整流 Buck コンバータのインダクタとコンデンサを選ぶときに使います。リプル電流、ピーク電流、出力リプル電圧、効率の概算を同時に出すので、データシートの推奨定数が自分の条件で妥当かを確認できます。

インダクタの選び方

インダクタンスを決めるのはリプル電流 ΔIL です。慣例として、定格出力電流の 20〜40% に収まる値を選びます。

リプルを小さくすると出力リプル電圧が下がり、コンデンサが小さくて済みますが、インダクタが大きく高価になります。逆にリプルを大きくすると、ピーク電流が上がって飽和電流の余裕がなくなり、コアの損失も増えます。

インダクタの選定で見るべきは IL peak(ピーク電流)です。データシートの飽和電流 Isat がこれを十分上回っていることを確認してください。飽和するとインダクタンスが急激に落ち、電流が制御不能に増えます。過渡応答時はさらにピークが上がるので、Isat には 1.2〜1.5 倍の余裕を持たせます。

出力コンデンサ

出力リプル電圧 ΔVout は、コンデンサの容量による成分と ESR による成分の和になります。この計算機は容量成分を出しています。

セラミックコンデンサは ESR が小さいので容量成分が支配的ですが、直流バイアス特性で実効容量が大きく落ちる点に注意してください。25V 定格の 10µF に 12V をかけると 4〜5µF しか残らないことがあります。データシートの値ではなく、実効容量で計算してください。

出力コンデンサを増やすと、リプル電圧だけでなく負荷急変時の電圧の落ち込み(ΔV過渡)も小さくなります。この計算機の f(LC) = 1/(2π√(L·Cout)) はその裏返しで、Coutを増やすほどf(LC)は下がります。f(LC)は出力LCフィルタの二重極で、実用的な制御ループの帯域はこれより大きく上には取りづらいため、f(LC)が下がるということは電源自身が反応できる速さの上限が下がることを意味します。

要するに、Coutを増やす=1回の負荷変動での電圧の落ち込みは小さくなるが、その状態から定常値に戻るまでの制御ループの応答速度は遅くなる、というトレードオフがあります。負荷変動が速く・大きいアプリケーション(デジタル負荷のロードステップなど)では、Coutをただ増やすのではなく、必要な帯域を確保できるインダクタンスとのバランスで決めてください。

効率の見方

この計算機の効率は MOSFET の導通損失(Rds(on) による I²R)だけを見た概算です。実際にはスイッチング損失、ゲート駆動損失、インダクタの銅損と鉄損、制御回路の消費が加わります。

実機の効率はここで出る値より 3〜8 ポイント低くなると考えてください。特にスイッチング周波数が高い場合や、入出力の電圧差が大きい場合は差が広がります。正確な値が必要ならメーカの提供するシミュレータか実測で確認してください。

レイアウトで決まる部分

  • 入力コンデンサの位置が最重要。ハイサイド MOSFET のドレインと GND の間のループ(ホットループ)を最小にします。ここが大きいとリンギングとスパイクが出て、EMI とデバイスの破壊につながります。
  • スイッチノード(SW)の面積は最小に。電圧が高速で振れる節点なので、広いと放射源になります。ただし発熱するので、狭くしすぎても問題です。
  • フィードバック配線は SW から離す。最も敏感な配線を最も騒がしい節点の近くに通さないでください。GND で挟むか、別層に逃がします。
  • GND は一点に集める。入力コンデンサ、出力コンデンサ、IC の GND ピンを最短で結びます。

よくある質問

リプル電流は出力電流の何%にすべきですか?
20〜40% が一般的な目安です。30% あたりから始めて、インダクタのサイズと出力リプルのバランスで調整してください。小さくしすぎるとインダクタが大きくなり、大きくしすぎるとピーク電流と損失が増えます。軽負荷での効率を重視するなら、やや大きめのインダクタンスを選ぶほうが有利です。
効率の値が実機と合いません。
この計算機は MOSFET の導通損失のみの概算です。スイッチング損失、ゲート駆動損失、インダクタの損失、制御回路の消費が含まれていません。実機は 3〜8 ポイント低くなるのが普通です。傾向を掴む目的で使ってください。
出力コンデンサはセラミックだけで足りますか?
多くの IC で足ります。ただし制御ループの安定性はコンデンサの ESR に依存する場合があり、ESR の小さいセラミックだけだと発振する IC もあります。データシートの推奨構成を確認してください。また直流バイアス特性で実効容量が落ちるので、必要容量の 2 倍程度を実装するのが安全です。
過渡応答(負荷急変時のアンダーシュート)は計算できますか?
この計算機の f(LC)・ΔV過渡(0↔Iout急変時)・回復時間目安が、大まかな目安になります。ただしこれらは制御ループを一切考慮せず、デューティが上限/下限に張り付いた状態でインダクタ電流が新しい負荷電流までスルーする、という大信号の最悪値近似です。実際の過渡応答は制御ループの帯域 fc に左右され、詳しく見積もるなら ΔV ≈ ΔI/(2π × fc × Cout) のように fc を含めた式で計算するか、メーカのシミュレータ・実機評価で確認してください。

参考にした規格・資料

  • IEC 61204-3 — 直流電源装置の性能と EMC。
  • CISPR 32 — スイッチング電源の放射・伝導ノイズの許容値。

最終更新: 2026-08-30