mAh表記の放電容量を消費電力に換算
バッテリーでよく目にするmAh表記の放電容量を消費電力(Wh:ワットアワー)に換算する計算機です。 基準電圧は慣例的に3.7Vであることが多いです。
計算履歴
計算式
エネルギー[J]: E[J] = E[Wh] × 3600
駆動時間[h] = E[Wh] ÷ 消費電力[W]
設計のポイント
バッテリー仕様はmAhで表記されますが、消費電力(W)から駆動時間を計算するにはWh変換が必要です。また、電圧が異なるバッテリー同士を比較する際にもWhが基準となります。
例:3.7V 2000mAh = 7.4Wh → 消費 2W なら 約 3.7時間動作
リチウムイオン公称電圧:3.7V、LFP(リン酸鉄リチウム)は3.2V など、化学系によって基準電圧が異なります。Wh計算時には公称電圧を使ってください。
こんなときに使います
mAh 表記の電池容量を、電力量(Wh)に直したいときに使います。電圧の違う電池どうしを比べる、航空輸送の規制値と照合する、機器の消費電力から動作時間を見積もる、といった場面で必要になります。
mAh だけでは比較できない理由
mAh は「何 A を何時間流せるか」という電荷量であって、エネルギーではありません。電圧が違う電池を mAh だけで比べると判断を誤ります。
例えば 3000mAh のリチウムイオン電池(3.7V)は 11.1Wh ですが、同じ 3000mAh のニッケル水素電池(1.2V)は 3.6Wh しかありません。同じ mAh でも 3 倍の差があります。モバイルバッテリーの「10000mAh」という表記も、内部のセル電圧(3.7V)基準なので、5V に昇圧して取り出せる量は損失を引いてさらに少なくなります。
代表的な電池の公称電圧
| 種類 | 公称電圧 | 3000mAh 相当のエネルギー |
|---|---|---|
| リチウムイオン / ポリマー | 3.6 〜 3.7 V | 約 10.8 〜 11.1 Wh |
| リン酸鉄リチウム(LiFePO₄) | 3.2 V | 約 9.6 Wh |
| ニッケル水素(NiMH) | 1.2 V | 約 3.6 Wh |
| アルカリ乾電池 | 1.5 V | 約 4.5 Wh |
| コイン電池(CR2032) | 3.0 V | 約 9.0 Wh(※容量は 220mAh 程度) |
| 鉛蓄電池 | 2.0 V / セル | 約 6.0 Wh |
公称電圧は放電中の平均的な電圧です。リチウムイオンは満充電 4.2V から終止 3.0V まで下がるので、実際に取り出せるエネルギーは電圧カーブの積分になります。公称電圧を使った計算はその近似です。
航空輸送の規制
リチウム電池の航空輸送は Wh で規制されています。機内持ち込みは100Wh 以下なら制限なし、100〜160Wh は航空会社の承認が必要、160Wh 超は旅客機では原則不可です。モバイルバッテリーの Wh 表記が求められるのはこのためです。
製品にリチウム電池を組み込んで出荷する場合は、UN38.3 の試験と適切な表示・梱包が必要になります。設計の早い段階で確認してください。
よくある失敗
- モバイルバッテリーの容量をそのまま出力量だと考える。10000mAh(3.7V = 37Wh)のバッテリーから 5V で取り出せるのは、昇圧効率 85% として約 31Wh、5V 換算で約 6300mAh です。表記の 6 割程度と考えておくのが実際に近くなります。
- 低温での容量低下を見ない。リチウムイオンは 0°C で 8 割、−20°C では 5 割程度まで取り出せる容量が落ちます。屋外機器では致命的です。
- 放電レートを無視する。公称容量は決まった放電電流(0.2C など)での値です。大電流で放電すると内部抵抗による損失で取り出せる容量が減ります。
よくある質問
Wh と J(ジュール)はどう換算しますか?
機器の動作時間はどう見積もりますか?
モバイルバッテリーの実効容量が表記より少ないのはなぜですか?
参考にした規格・資料
- UN38.3 — リチウム電池の輸送に関する試験基準。
- IATA 危険物規則書(DGR) — 航空輸送における Wh の区分。
- IEC 61960 — ポータブル用リチウム二次電池の性能表記。
最終更新: 2026-08-29