コンデンサ容量計算

パルス電流を蓄えられるコンデンサの容量を求めます。 出力電流、出力電圧、出力時間から必要な容量を計算します。

コンデンサ容量計算の説明図
A
V
s

SI接頭辞可(4k7 / 1M / 10m / 220)。大文字M=メガ、小文字m=ミリ

コンデンサ容量
—uF
計算履歴
入力欄で Enter を押すと、その時点の値がここに残ります。

計算式

必要容量: C = I[A] × t[s] / V[V] [F]
µF換算:C[µF] = I × t / V × 10⁶

設計のポイント

コンデンサはエネルギーを蓄えてパルス的な電流を供給できます。電源の応答が追いつかない短時間の大電流をコンデンサが補います。

代表的なユースケース:
• 無線モジュールの送信パルス(瞬間的な大電流)
• 電源そばのデカップリング(マイコンの動作安定化)
• モータ起動時の突入電流補償

大容量が必要な場合は電解コンデンサとMLCCを組み合わせるのが一般的です(電解コンデンサは大容量だがESLが大きいため、高周波はMLCCで補う)。

こんなときに使います

電源が切れた後もしばらく動かしたい(ホールドアップ)、あるいは突発的な負荷電流をコンデンサで賄いたいときに必要な容量を出します。瞬時停電への耐性、シャットダウン処理の完了、モータやリレーの突入電流の吸収などが典型的な用途です。

計算していること

C = I × t / ΔV です。ある電流 I を時間 t のあいだ供給したときに、電圧が ΔV だけ下がる――その関係から必要な容量を求めています。

入力欄の「出力電圧」は許容できる電圧降下 ΔV のことです。電源電圧そのものではありません。5V の電源で 4.5V まで下がってよいなら、ここに入れるのは 0.5 です。ここを間違えると桁で違う答えになります。

エネルギーの式 E = ½CV² から考えることもできますが、実務では「どこまで電圧が落ちてよいか」から入るほうが素直です。落ちてよい電圧は、後段のレギュレータのドロップアウト電圧やマイコンの低電圧検出しきい値から決まります。

計算例:電源断後にシャットダウン処理を走らせる

  1. 5V 入力の機器。電源が切れたあと、フラッシュへの保存に 10ms かかる。
  2. その間の消費電流は 200mA。
  3. 後段の 3.3V レギュレータのドロップアウトが 0.5V なので、5V が 3.8V まで下がっても動く。ΔV = 1.2V。
  4. この計算機に 0.2A / 1.2V / 10ms を入れると 1667µF。
  5. 実際には電解コンデンサの容量許容差(−20%)と経年劣化、低温での容量低下を見て、2200µF 以上を選ぶ。

見落としがちな要素

  • ESR による瞬間的な電圧降下。コンデンサは理想的な電圧源ではありません。ESR が 0.1Ω で 200mA が流れれば、その瞬間に 20mV 落ちます。大電流のパルスでは、容量より ESR が支配的になることがあります。
  • 電解コンデンサの容量は温度と寿命で減る。−25°C では常温の 6〜8 割、寿命末期にはさらに 2 割減るのが一般的です。低温で動かす機器では、この両方を見込んで倍近い容量を積むことになります。
  • セラミックコンデンサの直流バイアス特性。高誘電率系(X5R / X7R)は電圧をかけると容量が落ちます。定格電圧の半分で 5 割落ちる品種もあります。ホールドアップ用途にセラミックを使うなら、実効容量で計算してください。
  • 逆流防止のダイオードが要る。電源側が短絡的に落ちる場合、コンデンサの電荷は電源側へ逆流します。ダイオードで切り離さないと、貯めた電荷を負荷に使えません。ダイオードの順方向電圧のぶん使える電圧範囲も減ります。

よくある質問

「出力電圧」の欄には何を入れるのですか?
許容できる電圧降下 ΔV です。電源電圧そのものではありません。5V が 4.5V まで下がってよいなら 0.5 を入れます。この計算は「電圧がどれだけ落ちるまでに何クーロン取り出せるか」を見ているためです。
電解とセラミック、どちらを使うべきですか?
容量が必要ならアルミ電解、応答の速さが必要ならセラミックです。実際には両方を並列にして、電解が容量を、セラミックが高周波の ESR を担当する構成が一般的です。長期の信頼性が要る用途では、寿命の制約がない導電性高分子コンデンサや積層セラミックを検討してください。
スーパーキャパシタは使えますか?
秒〜分の単位でホールドアップしたい場合には有効です。ただし ESR が大きいので大電流のパルスには向かず、充電時の突入電流を制限する回路も必要です。また動作温度範囲と寿命の制約が電解コンデンサより厳しいことが多いので、仕様をよく確認してください。
突入電流の対策はどうすればいいですか?
大容量のコンデンサを電源に直結すると、投入時に大きな突入電流が流れてヒューズが飛んだり電源が保護動作したりします。NTC サーミスタ、突入電流制限 IC、あるいは抵抗とリレーによるプリチャージ回路で制限してください。

参考にした規格・資料

  • IEC 60384-4 — アルミ電解コンデンサの仕様。
  • IEC 60384-21/22 — 積層セラミックコンデンサの仕様。

最終更新: 2026-08-29